世間一般的に言えばダメな奴である。真剣に考えれば今から採り得る未来の選択肢は限りなく狭いし、そういったことをそれなりに自覚しているつもりでもある。しかし死のうと考えたことはない。なぜか。
恐らく理由は二つある。一つは「現世でやりたいことがあるから」であり、今ひとつは「来世や涅槃の存在を信じていないから」だろう。この二つが折り重なっているうちは人間手ずから死ねるものではない。生きるコストに比べて死ぬコストが重すぎる。裏を返せば、どちらか一方だけでも喪われてしまえばちょっと存在が危うくなるということだ。遊び、読書、散歩、食事、音楽、なんでもよいから生きるモチベーションは常に保っていたいとおもう。長く生きていたくはないが、まだ死にたくもないのである。

自ら死ねない、もっと大きな理由を忘れていた。痛いのや苦しいのがこわいから。もし完全な自殺法というものがあるとしたら。俺たちはそれを拒めるのか、果たして?