ようやく組み立てが終わった。電脳時計によれば一時間程度の作業だったこととなる。一年分くらいの運動をしたのではないかというくらい疲れている。
椅子の重量がこんなにも高負荷とは思わなかった。第一にして最大の誤算である。座部と脚部を組み合わせるのにはたいへん苦しまされた。ついさっきまでそこに転がってあったはずの螺子が消失するだとか、そういった問題はこの点に比べれば実に些末なものだ。
第二の誤算、というか関門は手すりの取り付けにあった。手すりを取り付ける前に座部上体と座部底部を連結させるのだが、この際、螺子穴の配置の関係で二者を強く押し当てつつ締めてやる必要がある。その作業の直後に手すりを付設させるのだけれども、しかし手すりは逆にやや引張ながらでなければ座部とのスムーズな接続に至らない。このへんを力任せにやろうとすると、手すりの締め付けがいまいちゆるいといった悲劇につながりかねない。他人事のように書いているが一度出来上がってから締め直しているのだから手に負えぬ。
ま、ともかく終わった。座り心地は悪くない。疲弊しているからかもしれない。たぶんそうだとおもう。とすれば、椅子や寝具といったものどもにとって取り付けが困難であるということはむしろ正の作用を起こすということになる。策略である。