「もしもし?」
「ここにおります」
そんなやり取りがしてみたいこの頃です、こんばんは。誰か俺に電話をくれ。
動く歩道エスカレーターと同じくらい、電車に乗るのが好きである。例えば旅行をするとして、俺ならその往路と復路に最も重きを置く。過程を大事にするなどと言えば聞こえは良いけれど、要は何も動かずぼうっと物を考えていられるからなのかもしれない。しかし事実として、ここ以外のどこかへ運ばれていく感覚は俺を高揚すらさせる。船が一等良い。三ヶ月くらいの航海をして、一週間くらい現地に留まって、また三ヶ月掛けて帰ってきたい。飛行機は移動期間と比べて制約が強いのでやや不完全燃焼に終わる。その点、電車は乗り降りがしやすいので素晴らしい。といっても乗り継ぎがしたいわけではない。そういう選択肢もある、ということが心を安定させるのだろう。
そういう話を家族にしたら、なんと祖父も同じような性癖の持ち主だと判明した。親は環境を作り、環境は人を育てる。