地を這う

歩道橋を渡るのが好きになった。あれを歩いていると色々な方向から音がするので楽しい。足の裏をなぞられるような焦れったい感覚。通過する車の起こす振動に過ぎないのかもしれない。しかし足の下側で何かが這っているように俺には思える。それに歩道橋は矛盾する二つの顔を持つ。空間的には広く開け放たれており、同時に連続的かといえばそうではない。寧ろそういう意味では閉鎖されてさえいる。
このようなロケーションは往々にしてどこか特別で劇的な予感を与えてくれるもので、たとえば他には渡り廊下や曲がり角といったものがそう。逆の例ではちょうどこの電脳世界など、一見閉鎖されているようで限りない裾広がりを含んでいる。しかし何でもかんでもネットやらに結び付けてしまうのは俺の悪い癖というものだ。