リインフォース

松村栄子『僕はかぐや姫』が手元に届きました。思っていたより安く済んで、お値段は二千円強。軍資金の残りはグラフィックカードにでも充てようか。
実物を前にして、今はとても静かな気分だ。注文したときは駄馬のように興奮していたような気がするのだけれど、数日の間が荒ぶる期待を落ち着かせた。何かに身を任せるコンディションとしては最適に近い。今夜はしっかり休んで、朝、鳥のさえずりが聞こえはじめる頃に表紙を開く。いや、それよりも先に髪でも切ってからが良いだろうか。晴れていたらそうしよう。雨が降り始めたら、そのうちに読んでしまうのが一番いい。読書するなら雨の日に限る。
考えてみれば俺は松村栄子という作家について何も知らなかったから、少し調べてみた。彼女が芥川賞作家ということさえ俺は知らなかったのだ。デビュー作は『僕はかぐや姫』、一九九一年。つまりこれは二十年前の作品ということになる。俺は、時代背景が文学作品の評価に及ぼす影響を信じない。良い旅になればいいと思う。