寒凪乃絵留ちゃん「ちなみに下着は上下黒」

因果関係こそ解らないものの、機械と僕っ娘という組み合わせは実にすばらしい。発案者に改めて賛辞を送ると共に原因の究明を急ぐところである。


■今日の僕っ娘
アニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』より寒凪“ノエル”乃絵留(cv.悠木碧)
1121戦車小隊の操縦手兼整備士。十五歳。階級は伍長。左利き。
カニック、天才肌、クール寄り三枚目と旨い要素を叩き込んだ、総じて良い僕っ娘だった。というかもうメロメロです。ごちそうさまでした。
このような特徴はムスメ調合RPGアルトネリコ』はクルシェ・エレンディアを思い起こさせる。探せばもう少しいるかもしれない。

さて上のように書いたがしかし、クルシェとノエルは近似値でこそあれ決して同型の僕っ娘ではない。
その理由の一つとして、二人を三枚目足らしめている要素が関係していると考える。クルシェの持つ三枚目要素が『ぼそっと厳しいツッコミ』(公式談)から来るものであるのに対し、ノエルのそれは微かに滲む天然の影である。酒乱である点を含めてもいいかも知れない。彼女を飽くまでクールに(いやダウナーに)描きつつギャグ担当としても完成させているのは、キャラ崩壊を起こさない程度の天然要素に他ならない。これを我々は無垢と呼ぶ。
無垢。なんて甘美な響きだろうか。これは俺の思うところ、平川ナツミにも三塚井ドクロちゃんにも見出だせなかった。彼女らは無邪気でこそあれ無垢ではなかった。しかし寒凪乃絵留は無垢なのだ。十五歳だろうが酔うと狂おうが下着が黒だろうが無垢なのだった。

今一つ無垢な女の例を挙げるとすると、俺が思い付くのは『スカイ・クロラ』より主人公、草薙水素。レシプロ機のパイロットをしている。メカニックとの関連性は深い。
が、ここで注目したいのはむしろノエルとクサナギ、二人の仕事に対する打ち込み様である。クサナギは何よりも空を愛し、空を飛ぶ為に空を飛ぶ生粋のパイロットだった。翻ってノエルもまた、多脚戦車タケミカヅチの整備を一度ならず「幸せ」と表現する。その世界に魅せられ、入れ込んでいるわけだ。ガラス工房の親爺はそれを“職人”と称した。あの筋肉ダルマは物が分かっている。

こういったことから推察するに、ある種の閉鎖性と高い専門性を有する役割に従事していると、自然とこうしたキャラクタになっていくのではないだろうか。たとえば芸術家、狙撃手、棋士など。
もちろん仮定の域を出ない。要検証といったところだが、我ながら悪くないアタリの付け方だと思わなくもない。無垢っ娘に愛を。もっと光を。