十二

今日の出費
食費 なし
雑費 なし
合計 〇円

よっぽど無気力な表情をしていたのだろうか。働く気がないの、と諭される。
そんなわけがない、と条件反射的に答えようとしたところで思い直した。そうなのかもしれない。心の奥の一番正直なところを曝せば、たぶん俺は働きたくない。より正確には、働いている自分が想像出来ない。働くまでのプロセスが全く不明だし、働いてからの動向にも予想が付かない。頑張ってる自分を想像すると引いちゃう、とは巣籠カナの言だったろうか。頑張りかたがわからない、とこちらは紫苑寺有子の台詞だったと記憶する。言ってることは駄目人間のそれなのだが、彼女たちの言うことだと思うと途端にいとおしい。俺もかわいい女の子に生まれたかった。
それにしてもボクっ娘には擦れた子が多い。かと思えば天真爛漫無邪気っ娘もやはり一大勢力で、真ん中というのはあまりいない気がする。作者の一人称「僕」への態度が影響してくるのだろうか。